「美味しいものを食べたいのに、なかなか信頼できる店が見つからない」
「料理が上手そうに見えても、素材が残念だったりする」
「お店の雰囲気はいいけど、料理がいまひとつ…ということが多い」
こういう経験、一度や二度じゃないですよね。
フジムラです。鉄板バル藤村商店のオーナーシェフ、藤村知広です。今日は、お客様がいらっしゃる時間には絶対に見えない話をしようと思います。それが「仕込みの時間」のこと。
鉄板の前に立って肉を焼く姿は見てもらえます。でも、その前の時間――食材を選び、下処理をして、温度を確かめる時間――は、誰の目にも触れません。33年間、料理に関わってきた自分が一番大切にしているのは、実はそのお客様の見えない時間なんです。
こんな方におすすめ
- ✅ 料理のこだわりや裏側を知った上でお店を選びたい方
- ✅ 京田辺・松井山手エリアで「ちゃんと美味しい」鉄板料理を探している方
- ✅ 行きつけにできる、信頼できるお店を見つけたい方
- ✅ 素材や仕込みへのこだわりを持つ料理人の話が気になる方
- ✅ 女子会・夫婦ごはん・普段使いできるお店を探している方

「美味しい」の8割は、開店前に決まっている
よく「鉄板焼きって、焼く技術がすべてでしょ?」と言われます。確かに、鉄板の温度管理や焼き加減の判断は大事です。でも、正直に言うと、焼き始めた時点でその料理の8割はもう決まっている。
何が決まっているかというと、素材の状態です。
どんな牛肉を使うか。どの部位を選ぶか。その日の熟成具合はどうか。野菜はどこから来たものか。これを一つひとつ確認して、その日の食材に合わせて仕込みの方法を変える。これが仕込みの仕事です。
藤村商店では、京田辺・久御山・八幡・宇治田原といった地元周辺から野菜を仕入れています。産地が近いということは、鮮度が違うということ。「地元野菜を使っています」と言うのは、ただのうたい文句じゃなくて、翌日には傷みが来るような繊細な素材を、ちゃんと状態のいいうちに出せるという話なんです。
牛肉については、A5ランクの飛騨牛や宮崎産の黒毛和牛も扱いますが、毎回同じルーティンで仕込むことはしません。その日届いた肉の質感・色・脂のつき方を見て、「今日はどう焼くか」を考える。仕込みの段階から、もう焼き方のイメージを持っています。
鉄板は「熱ければいい」わけじゃない
厚さ約25mmの分厚い鉄板を使っています。この鉄板の蓄熱性の高さが、藤村商店の料理の要です。
薄い鉄板や家庭用のフライパンと何が違うかというと、肉を乗せたときに温度が落ちにくいこと。表面が200℃を超えた状態を保ちながら焼けるので、肉の表面をしっかり焼き固めて、中の旨みと肉汁を閉じ込められます。あの「ジュッ」という音と立ち上がる香りは、蓄熱された鉄板だからこそ出せるものです。
ただ、「とにかく高温で焼けばいい」というわけでもない。脂の多い部位、赤身の強い部位、熟成の進んだ肉。それぞれに最適な温度と焼き時間がある。仕込みの段階で「今日の肉はどの温度帯で焼くか」を意識しておくことで、営業中の判断がスムーズになります。
開店前に鉄板を温め始めながら、その日の肉の状態を確認する。これが毎日の始まりです。地味な作業ですが、ここをちゃんとやるかどうかが、最終的な料理の仕上がりに直結します。
✓ ここまでのポイント
- 料理の完成度の大半は、焼く前の「仕込みの時間」で決まっている
- 地元野菜の鮮度と、肉の状態を毎日確認することで、その日最適な調理法を選んでいる
- 厚さ25mmの鉄板の蓄熱性を活かすために、素材ごとに温度設定を変えている
名物「うそつきピザ」が生まれた、ちょっとした実験の話
「うそつきピザ」という名前、初めて聞く方は「なんだそれ」と思うはずです。実はこれ、お好み焼き用の粉を生地に使ったピザなんです。「ピザと言い張っているけど、ピザじゃない」から「うそつき」。
このメニューが生まれたのは、ある日の仕込み中に「鉄板でピザみたいなものが作れないか」と試し始めたのがきっかけです。窯ではなく鉄板という調理環境の中で、どうすれば香ばしくて食感のいいものが作れるか。試行錯誤の末に行き着いたのが、お好み焼きの粉ベースの生地をバーナーで仕上げるというスタイルでした。
お客様の声をそのまま引用すると——
「うそつきピザは毎回取り合い。なくなる前に頼まないと絶対後悔する」
30代・女性グループのお客様より
取り合いになるくらいウケてよかった、というのが正直な感想です(笑)。仕込みの時間に思いついた「ちょっとした実験」が、気づいたらお店の看板メニューになっていました。こういうのは、計算じゃなく、料理と向き合い続けていることから生まれる気がしています。
「普段使い」ができる店にするために、やめたこと
ホテルのレストランで接客の経験を積んでいた時代がありました。洗練されたサービス、整えられた空間、格式のある料理。そういう世界にいたからこそ、独立するときに「自分がやりたいのはそれじゃない」と気づいた。
「気取らず普段使いできる鉄板焼きの店を作りたい」というのが、開業のときから変わっていない気持ちです。
だから、仕込みでも「見栄えのためだけの手間」はかけない。素材の味がちゃんと出るための準備に集中する。装飾的な盛り付けや、難しい横文字のメニュー名をつけることよりも、「食べたときに素直に美味しい」と感じてもらえるかどうかを優先しています。
客単価3,000円〜6,000円というのも、そういう考え方の延長線上にあります。A5飛騨牛も使いますが、それをコース料理に組み込んでコスパよく楽しんでもらえる形を考える。「美味しいものはいつも特別な日のもの」じゃなくて、「普通の週末に食べに来られるもの」であってほしい。
「何を食べても美味しくて、コスパが本当にいい。また絶対来たくなる」
40代・ご夫婦のお客様より
こういう言葉をもらえると、仕込みの時間を丁寧にやってよかったと思います。見えない時間の積み重ねが、「また来たい」という気持ちにつながっているなら、それが一番の答えだと感じています。
まとめ:見えない時間が、食卓に届く味をつくっている
料理人の仕事の大半は、お客様の目に触れない場所にあります。素材を選ぶ時間、状態を確かめる時間、温度を調整する時間。地味で、地道で、毎日同じようにこなさないといけない作業です。
でも、それをさぼった日は、必ずどこかで味に出る。33年この仕事をしていると、そういうことが体でわかってきます。
鉄板バル藤村商店は、松井山手駅から徒歩6分。京田辺市松井ヶ丘の静かな住宅街の中にある、18席のこぢんまりとした鉄板バルです。女子会や夫婦ごはん、少人数グループの方から、「一人でフラッと来た」という方まで、気軽に使っていただいています。14名以上であれば貸切でのご利用も可能です。
なお、通常は火曜日が定休日ですが、4月28日(火)・5月5日(火)は営業します。ゴールデンウィークにぜひどうぞ。狙い目です。
仕込みの話を長々と書きましたが、一番早いのは実際に食べに来てもらうことだと思っています。見えない時間の積み重ねが、鉄板の上でどう表れているか、確かめに来てください。お待ちしてます。
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