実は、飲食店の常連客のうち約6割が「雰囲気・居心地」を理由に通い続けているという調査データがあります(フード業界向けリサーチより)。料理の美味しさはもちろん大前提。でも「また来たくなる理由」のトップは、食べ物より場の空気なんですよね。
今回取材させてもらったのは、木津川市から定期的に松井山手まで足を運ぶ常連のお客様グループ。車で20分以上かけてでも通う理由は何なのか。その一晩に、オーナーシェフの藤村知広とともに密着しました。
こんな方におすすめ
- ✅ 気の置けない仲間と、気兼ねなくゆっくり飲み食いできる店を探している方
- ✅ 木津川市・八幡市・枚方市周辺で、雰囲気の良い行きつけのお店を見つけたい方
- ✅ 「また来たくなる」と思えるような、居心地のいい鉄板バルを知りたい方
- ✅ 女子会やグループ飲みに使いやすいお店を探している方
- ✅ コスパよく本格料理を楽しみたいと思っている方

午後5時、藤村商店の仕込みが始まる
フジムラです。毎日この時間、ひとり鉄板の前に立つところから一日が動き始めます。
厚さ約25mmの分厚い鉄板を200℃超まで温めながら、その日の食材を確認する。京田辺・久御山・八幡・宇治田原から仕入れた地元野菜の鮮度をひとつずつ手でたしかめ、肉の状態を目と感覚で読む。A5ランクの飛騨牛、宮崎産の黒毛和牛、それぞれに適した火の入れ方が違うから、仕込みの段階でどう焼くかのイメージをすでに持っておく。
「肉はしゃべらないけど、ちゃんと教えてくれるんですよ。今日の状態をね」と藤村は言う。ホテルのレストランで積み上げた33年のキャリアが、そのひと言に詰まっている気がした。
18席しかない小さな店だけれど、だからこそ料理との距離も、人との距離も近い。オープンキッチンの鉄板越しに、お客様と話しながら料理を仕上げる。「気取らずに使ってほしい」という開業当初からの想いは、今も店の隅々に染み込んでいる。
午後7時、木津川市からの常連グループが到着
「お待ちしてました、いらっしゃい!」
暖簾をくぐって入ってきたのは、40代の女性4人グループ。木津川市に住む彼女たちが藤村商店に通い始めたのは、もう3年以上前のこと。最初は友人の紹介で一度来ただけのつもりが、いつの間にか月に一度の「恒例」になっていたという。
「近所にも飲食店はあるんですけどね。でも、ここに来ると全然違うんです。落ち着くし、何を頼んでも美味しいし、時間を気にせずゆっくりできるから」とグループのリーダー格、Mさん(45歳)が話してくれた。
席に着くなり「まずはうそつきピザ、お願いします!」の声。これが毎回の始まりらしい。
名物の「うそつきピザ」は、お好み焼き用の粉を生地に使い、バーナーで仕上げるオリジナルメニュー。ピザとお好み焼きの中間みたいな、他では食べられない一品で、藤村商店を初めて訪れたお客様がまず虜になるのがこれだ。「毎回取り合いになる」というのは、常連の間での共通の笑い話でもある。
「うそつきピザは毎回取り合い。何を食べても美味しいから、気づいたら全部頼んでる(笑)」
40代・女性グループのお客様
✓ ここまでのポイント
- 藤村商店は、仕込みの段階から食材ひとつひとつの状態を見極め、素材の旨みを最大限に引き出す料理を提供している
- 木津川市から車で通う常連客がいるほど「また来たくなる」居心地と料理の魅力がある
- 名物「うそつきピザ」はお好み焼き用の粉を生地に使ったオリジナルで、常連の間でも争奪戦になる人気メニュー
午後8時、鉄板を囲む会話が弾む理由
うそつきピザのあとは、牛ハラミステーキ、地元野菜のバーニャカウダ、鉄板だし巻きと注文が続く。鉄板を挟んで藤村が料理を仕上げるたびに、テーブルから歓声が上がる。
このオープンキッチンのスタイルは、藤村が意図して作った「距離感」だ。お客様が調理の過程を見ながら待つ時間さえ、会話のきっかけになる。今夜も「あの肉、どのくらいの厚さなんですか?」という質問から始まって、藤村と常連グループの間に自然な会話が生まれていた。
「料理を作るのは好きだけど、それ以上に、ここで過ごす時間をお客様に楽しんでもらいたい。それが一番なんですよね」
滞在時間に制限はない。飲み放題付きのコースを選べば、料理と会話を心ゆくまで楽しめる。30代〜50代の地元客に支持される理由のひとつが、この「急かされない時間」だと思う。
Mさんたちも、気づけば2時間以上が経っていた。でも誰も時計を気にしていない。「ここにいると時間の感覚がなくなる」と笑いながら、追加の一杯を頼んでいた。
コスパの良さは「価格」だけじゃない
藤村商店のディナーは3,000円〜6,000円が目安。A5ランクの飛騨牛や宮崎産黒毛和牛を使いながらも、この価格帯に収まるのは「普段使いできる店にしたい」という藤村の一貫した姿勢があるからだ。
ただ、Mさんが「コスパが良い」と言うとき、それは単に価格のことだけを指していないように思えた。「払った金額以上に、楽しんで帰れる。それがコスパってことじゃないですかね」という言葉が印象的だった。
料理の質、居心地の良さ、気兼ねのない時間。それが全部ひっくるめて3,000円台から楽しめる。木津川市から車を走らせてくる理由は、きっとそこにある。
「コスパが良い、というか、一人でもグループでも居心地がいいんですよ。また来たくなるお店って、こういうことだと思って」
40代・女性/木津川市在住の常連客
午後10時、また来る約束をして帰る
グループが帰り際、「来月も来ます」と声をかけていった。藤村は「お待ちしてます、気をつけて」と返す。毎月繰り返されてきた、いつものやりとり。
常連になるというのは、何か特別なことがあるからじゃない。「ここに来たら、また良い時間が過ごせる」という確信が積み重なった結果だ。藤村商店が3年以上、木津川市からの常連客を引き寄せ続けているのは、その確信をコツコツと更新し続けてきたからだと思う。
店を閉める前、藤村はひとり鉄板を磨く。「明日も来てくれる人がいるうちは、ちゃんとやらないとね」と言いながら。33年のキャリアが、日常の所作に静かに溶け込んでいた。
まとめ:気の置けない仲間と、心ゆくまで過ごせる場所
木津川市からわざわざ通う理由。それは特別なイベントでも、記念日でもなく、「ここにいると気持ちよく過ごせる」というシンプルな理由だった。鉄板料理のライブ感、急かされない時間、気さくな藤村との距離感。全部が揃ってはじめて「また来たくなるお店」になる。
松井山手駅から徒歩6分。18席のこじんまりとした空間に、気の置けない仲間と来てみてください。テーブルに着いたら、まずうそつきピザを。きっとその晩のうちに、次の予約を入れたくなるはずです。
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